東洋と西洋から見た夏の過ごし方

6月も後半に入り、もう少しで一年のうちでも昼の時間が最も長くなる「夏至」を迎えます。

 

日が長くなると、夕方になっても明るさが残るため、活動時間が自然と伸びやすくなります。

 

つい寝る時間が遅くなったり、日中に頑張りすぎたりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

また、この時期は気温だけでなく湿度も上がりやすく、体に熱がこもるような感じ、寝苦しさ、だるさ、食欲の落ちやすさなどを感じる方も増えてきます。

 

いよいよ本格的な夏に向けて、体の整え方を見直しておきたい時期です。

東洋の知識では、夏は「心」と関わりが深い季節と考えられています。

 

ここでいう「心」は、西洋医学でいう心臓そのものと完全に同じ意味ではありません。

 

血(けつ)のめぐりや精神活動、気持ちの安定なども含めた、もう少し広い意味で使われます。

 

夏になると、暑さで動悸が気になったり、寝苦しくて眠りが浅くなったり、なんとなく気持ちが落ち着かなくなったりする方もいらっしゃいます。

 

東洋では、こうした夏特有の不調を「心」に負担がかかりやすい状態として捉えることがあります。

一方、西洋医学の視点で見ると、夏は体温調節が大きなテーマになります。

 

人の体は汗をかくことで熱を逃がしますが、気温や湿度が高い日、寝不足の日、食事や水分が不足している日などは、体温調節がうまくいきにくくなります。

 

特に40代以降は、疲労の蓄積、睡眠の質の低下、筋肉量の変化なども重なり、暑さがこたえやすくなることがあります。

 

無理をして暑さを我慢するのではなく、早めに体を整えることが大切です。

 

また、夏は胃腸にも注意が必要です。

 

暑い日は、冷たい飲み物、そうめん、アイス、果物など、口当たりのよいものが増えやすくなります。

 

もちろん、暑い時期に冷たいものを適度にとること自体が悪いわけではありません。

 

ただ、そればかりが続くと、胃腸が冷えたり、食事全体の栄養バランスが偏ったりしやすくなります。

東洋の知識では、胃腸を中心とした消化吸収の働きを「脾」として捉えます。

 

夏は「心」をいたわりながら、同時に「脾」、つまり胃腸の働きも守ることが大切です。

 

西洋的に見ても、食事量が落ちる、たんぱく質が不足する、水分や塩分の補給がうまくいかないといった状態は、夏のだるさや疲れやすさにつながりやすくなります。

 

養生としておすすめしやすい食材には、トマト、きゅうり、なす、オクラ、ピーマン、ゴーヤ、モロヘイヤ、枝豆、いんげん、豆腐、卵、白身魚、鶏肉、山芋、味噌汁などがあります。

 

トマトやきゅうり、なすなどの夏野菜は、暑い時期に食べやすく、水分も多い食材です。

 

オクラやモロヘイヤ、山芋などは、食欲が落ちやすい時期にも取り入れやすく、胃腸に負担をかけすぎない食事づくりに役立ちます。

 

また、枝豆、豆腐、卵、白身魚、鶏肉などを組み合わせると、夏に不足しやすいたんぱく質も補いやすくなります。

 

暑いからといって、麺類や冷たいものだけで済ませず、少しでも主菜を添えることを意識するとよいでしょう。

 

ただし、冷たいサラダや冷たい麺ばかりに偏ると、胃腸が冷えやすい方もいらっしゃいます。

 

冷えが気になる方は、味噌汁やスープを添える、温かいお茶を飲む、薬味としてねぎや生姜を少し使うなど、冷やしすぎない工夫をするとよいでしょう。

夏の過ごし方として、東洋の知識で大切にされていることがあります。

 

まずひとつは、適度に汗をかき、気分を発散させることです。

 

夏はじめじめして、あまり汗をかきたくないと感じる方も多いと思います。

 

ただ、東洋の考え方では、夏は体の中にこもった熱や気分の停滞を、上手に外へ発散させることが大切とされています。

 

もちろん、炎天下で無理に運動する必要はありません。

 

朝や夕方の涼しい時間に軽く歩く、室内でストレッチをする、湯船に短時間つかるなど、無理のない範囲でじんわり汗をかくことを意識するとよいでしょう。

 

汗をかいたあとは、水分補給も忘れないようにしましょう。

 

汗の量が多い日や屋外作業がある日は、水分だけでなく塩分の補給も大切です。

次に、夏は「少しくらい夜更かしをしてもよいが、朝は早めに起きる」という考え方もあります。

 

これは、夏は日が長く、自然界の陽気が盛んになる季節なので、その流れに合わせて、日中をのびやかに過ごすという養生です。

 

ただし、現代では夜でも気温が下がりにくく、冷房やスマートフォンの影響もあり、睡眠が乱れやすい環境になっています。

 

そのため、夜更かしをすすめるというよりは、「極端に早く寝ようと無理をするより、朝のリズムを整え、日中を気持ちよく過ごす」と考えると取り入れやすいと思います。

 

寝室は冷房や扇風機を上手に使い、体を冷やしすぎない範囲で、眠りやすい環境を整えましょう。

また、夏は気持ちの持ち方も大切です。

 

東洋では、夏は「心」と関わり、「喜」という感情とも深いつながりがあると考えられています。

 

そのため、夏はなるべく怒りすぎず、気持ちを穏やかに保つことも大切です。

 

暑さでイライラしやすい時期だからこそ、予定を詰め込みすぎない、休む時間を先に確保する、深呼吸をする、涼しい場所で一息つくといった工夫も養生になります。

 

そして、心ゆくまで気楽に笑い、楽しむことも夏の養生のひとつです。

 

よく笑い、よく話し、気分よく過ごすことは、東洋の考え方でいう「心」をのびやかに保つことにもつながります。

 

無理に頑張りすぎるのではなく、夏らしく明るく過ごしながら、体と心を整えていきましょう。

最後に、冷房についてです。

 

暑いからといって体を冷やしすぎるのは注意が必要ですが、反対に「冷房は体に悪い」と我慢しすぎるのも危険です。

 

夏の冷房は、熱中症を防ぐための大切な手段でもあります。

 

大切なのは、設定温度だけで判断するのではなく、室温、湿度、体感、体調を見ながら、無理のない環境をつくることです。

 

冷えやすい方は、首元やお腹、足首を冷やしすぎないようにしながら、上手に冷房を使うとよいでしょう。

夏至を迎える頃は、体も心も活動的になりやすい一方で、暑さや湿気の影響を受け始める時期でもあります。

 

東洋の知識では「心」と「脾」をいたわり、西洋の視点では体温調節、水分補給、睡眠、栄養バランスを整える。

 

どちらの視点から見ても、無理をせず、冷やしすぎず、頑張りすぎず、こまめに整えることが夏の養生につながります。

 

今年の夏も、体の声を聞きながら、気持ちよく過ごしていきましょう。

 

※これは一般的な健康情報です。医薬品ではありません。体調には個人差がありますので、ご自身の状態に合わせて無理のない範囲で意識してください。

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