東洋から見た
40代以上の女性の
朝起きるのが辛い方向けのケア

以前は目覚ましが鳴ればそのまますっと起きられていたのに、40代に入ってから朝がとてもつらくなった…というお声をよくうかがいます。


体が重くて布団から出られない、起きてもしばらく頭がぼんやりしてエンジンがかからない、午前中いっぱいは何となく調子が出ない。そんな感覚に心当たりはございませんでしょうか。

 

東洋医学では、このような「朝からエネルギーが湧いてこない」状態の背景に、「気虚(ききょ)」という状態が隠れていると考えます。

 

 

ここでいう「気」とは、体や心を動かす目に見えないエネルギーのようなものです。

 

 

呼吸や食事、睡眠などを通してつくられ、私たちが歩く、考える、内臓を働かせるといったあらゆる活動の土台になっています。

 

 

この気が不足した「気虚」の状態になると…

 

・朝なかなか起きられない

・いつも体がだるい、重い

・元気が出にくい、やる気が続かない

・食欲がわきにくい、少し食べただけで疲れる

 

といった不調が現れやすくなるとされています。

 

 

特に40代以上の女性は、仕事や家事、育児、介護などで心身ともに忙しく、気を消耗しやすい年代ですから、意識的に「気を補う」ことが大切です。

さらに、40代以降の女性では「腎(じん)」のケアもとても重要になります。
 

東洋医学でいう腎は、西洋医学の腎臓そのものとは少し意味が異なり、成長や発育、ホルモンバランス、骨や耳、腰の状態、さらには老化全般と深く関わるとされる存在です。

 

いわば体の「根っこ」のような役割を担っていると考えられています。

 

 

年齢とともにこの腎の力が少しずつ弱まってくると、

 

・疲れが取れにくい

・冷えやすい

・髪や骨の変化が気になる

・夜間に何度も目が覚める

 

といった変化が現れやすくなり、その延長線上として「朝のだるさ」が出てくることもあります。

そしてもう一つ、忘れてはいけないのが「肝(かん)」の存在です。
 

肝は、気や血の巡り、自律神経のバランス、イライラや落ち込みといった感情面とも深く関わると考えられています。

 

肝の働きが乱れると、眠りが浅くなったり、夢を多く見たり、夜更かしがやめられないといった状態になりやすく、その結果として「寝たはずなのに朝すっきりしない」という感覚につながる場合があります。

 

 

このように、40代以上の女性の「朝起きるのがつらい」というお悩みには、気虚とともに、腎と肝の状態が複雑に関わっていると東洋医学では考えます。

では、日常生活ではどのようなことを意識するとよいのでしょうか。

 

 

まず取り組んでいただきたいのは、睡眠と生活リズムをできる範囲で整えることです。

 


毎日まったく同じ時間に寝起きする必要はありませんが、おおまかな就寝・起床時間のめやすを決めて、極端にずれないように意識してみてください。

 

 

就寝前のスマートフォンやパソコンは、できれば少しずつ時間を短くしていきましょう。

 

 

強い光や情報の刺激は、肝や自律神経に負担をかけ、眠りの質を損ねる一因になると考えられます。

 

難しい場合は、画面の明るさを落とす、見る時間帯を決めるといった工夫も一つの方法です。

 

 

夜は、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、深呼吸をしながら体と心をゆるめる時間をつくることをおすすめします。

 

肩や背中がこわばったまま眠ってしまうと、浅い眠りになりやすく、朝の倦怠感につながることがありますので、お風呂時間を「一日のリセットタイム」として大切にしていただければと思います。

朝の一口で「気」を補う

 

次に大切なのが、朝の食事です。
 

「朝は忙しくて何も食べない」「コーヒーだけで済ませてしまう」という方もいらっしゃいますが、気虚ぎみの方ほど、朝の一口はとても大事な養生になります。

 

 

消化吸収を担うはたらきは、東洋医学では「脾(ひ)」と呼ばれます。

 

脾は飲食物から気や血をつくり出す要の存在ですので、脾をいたわる食べ方が、そのまま一日のエネルギーづくりの土台になります。

 

 

おすすめの養生食材としては、

 

穀物類:白米、雑穀、黒米など

 

芋類:じゃがいも、さつまいも、里芋など

 

豆・きのこ類:大豆、黒豆、しいたけ、まいたけなど

 

ナッツ・種実類:くるみ、栗、松の実、黒ごまなど

 

黒い食材:黒豆、黒きくらげ、黒ごまなど

 

ほかにもクコの実、柑橘類、貝類などが挙げられます。


これらは、気や血を補い、腎や肝のケアにもつながりやすいとされる食材です。

 

調理のポイントは、冷たいものや生のままではなく、なるべく温かいスープや煮物、蒸し料理など、胃腸に優しい形で取り入れることです。

 

 

お粥に刻んださつまいもやきのこを加える、味噌汁に豆腐やわかめを入れる、黒ごまをふりかけるといった、簡単な工夫でも十分です。

 

 

朝、たくさん食べる必要はありません。
 

「温かい汁物を一杯だけ」「お粥を少しだけ」といった量でも、脾を助け、気を補う一歩になります。

日中の「ちょこっと運動」で巡りをととのえる

 

日中に少しだけ体を動かすことも、気や血の巡りを整えるうえでとても役立ちます。
 

 

激しい運動を新しく始める必要はなく、たとえば

 

・通勤や買い物のときに少し早歩きしてみる

・エレベーターではなく、無理のない範囲で階段を選ぶ

・家事の合間にゆっくり深呼吸とストレッチをする

 

といった「ちょこっと運動」でも十分です。


 

体を軽く動かすことで巡りがよくなり、結果として「ほどよく心地よい疲れ」が得られ、夜の眠りにもつながりやすくなります。

自分を責めず、体の声に耳を傾ける

 

忙しい40代以上の女性は、どうしても家族や仕事を優先し、ご自身の休息を後回しにしてしまうことが多いと感じます。
 

 

しかし、東洋の考え方では「よく眠り、よく食べ、よく休むこと」が何よりの養生です。

 

 

特に朝が辛いときほど、「もっと頑張らなければ」とご自身を追い込むのではなく、「少しでも体をいたわる時間を確保する」方向に意識を向けていただきたいと思います。

 

 

朝起きるのがつらい日が続くと、「自分は怠けているのではないか」「根性が足りないのでは」と不安になってしまう方もいらっしゃいます。
 

 

けれども、年齢的な変化や、気・腎・肝の状態が影響していることも多く、決してご自身の性格や努力不足の問題だけとは限りません。

 

 

少しずつ睡眠リズムを整え、体を温める食事を心がけ、日中に軽く体を動かす。
 

その積み重ねが、ゆるやかではあっても、朝のつらさを和らげる助けになるはずです。

 

無理のない範囲で、ご自身のペースで取り入れてみてください。

 

 

なお、ここでお伝えしている内容は、あくまで東洋医学や養生の考え方に基づいた一般的なお話です。
 

強いだるさが長く続く場合や、息切れ・動悸・強い不眠など気になる症状がある場合は、自己判断に頼りすぎず、早めに医療機関や専門家にご相談ください。

 

 

上手に休息と養生を取り入れて、朝の時間を少しでも楽に迎えられる日が増えますように。

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