東洋から見た歯ぎしりの原因

ご家族の歯ぎしり、またはご自身の歯ぎしりに困っていらっしゃる方は少なくありません。

 

寝ている間に「ギリギリ…」と大きな音がすると、見守る側としては「歯は大丈夫かな」「顎が壊れないかな」と心配になりますよね。

 

しかも、本人は覚えていないことが多く、どう対策すればよいのか分かりにくいのも悩ましいところです。

 

 

歯ぎしりと聞くと“音が出るもの”という印象がありますが、実際には音が出ないタイプもあります。

 

たとえば、上下の歯を強く噛みしめる「食いしばり」型です。朝起きたときに顎がだるい、こめかみが重い、歯がしみる感じがする、口が開きにくい気がするなど、はっきりしないサインとして表れることがあります。

 

こうした状態が続くと、歯がすり減る、欠ける、詰め物が傷むといったトラブルにつながる可能性があるため、早めに“守る対策”を用意しておくと安心です。

 

歯ぎしりは、歯そのものだけでなく、顎の関節や噛む筋肉にも負担がかかりやすい状態です。

 

噛む筋肉が緊張し続けると、首肩の張りや頭の重さに関与することもあります。ただし、何でも歯ぎしりのせいと決めつけるのは避けた方がよいです。

 

特に、手のしびれや強い痛みがある場合は、首(頸椎)や神経、別の原因が関係していることもあるため、早めに医療機関へご相談ください。

西洋医学的には「多因子」で考えます

 

睡眠中の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)は、原因がひとつに定まらないことが多いとされています。

 

ストレス、生活リズム、睡眠の質、体質、飲酒や喫煙、薬の影響など、いくつかの要因が重なって起こりやすくなります。

 

だからこそ、本人の意思だけで止めようとしても難しく、「責めないこと」がとても重要です。

 

 

現実的な第一選択としては、歯科で相談し、必要に応じて就寝用マウスピース(ナイトガード)を検討します。

 

これは歯ぎしり自体をゼロにするというより、歯や顎へのダメージを減らす目的で用いられます。

 

市販品もありますが、合わない場合に負担になることもありますので、できれば歯科で状態を確認し、その方に合った方法を選ぶのがおすすめです。

 

 

また、いびきが強い、日中の眠気が強い、呼吸が止まると言われたことがある場合は、睡眠の別の問題が隠れていることもあります。気になる方は、歯科・耳鼻科・睡眠外来などで相談しておくと安心です。

東洋では「肝の高ぶり」と「筋のこわばり」に注目します

 

東洋では、歯ぎしりの背景を「肝(かん)の高ぶり」と捉えることがあります。

 

ここでいう肝は、西洋医学の肝臓と一対一で対応させるものではなく、緊張の抜けにくさ、気持ちの張り、イライラしやすさ、筋のこわばりやすさなどを含めて眺める枠組みです。

 

 

日中、気を張って頑張っている方ほど、夜になってもスイッチが切れにくいことがあります。

 

頭では休もうとしているのに、体は緊張を握ったまま、という状態です。

 

東洋では、緊張やいらだちなどの“高ぶり(肝の昂ぶり)”が続くと、筋(すじ)がこわばりやすくなり、噛みしめや歯ぎしりとして表れることがある、と捉えます。

 

 

さらに、東洋では、胃腸(脾胃)の働きが落ちて気血の土台が弱ると、眠りが浅くなったり、気持ちが落ち着きにくくなったりして、結果として“高ぶり”が出やすい、と捉えることがあります。

 

夜遅い食事、冷たい飲み物、甘いものが続くなどで胃腸の負担が重なると、眠りの浅さにつながる方もいらっしゃいます。

 

すべての方に当てはまるわけではありませんが、「体の土台が薄くなると休まりにくい」という合図として覚えておくと調整しやすくなります。

今夜からできる整え方は「顎の休憩」を増やすことです

 

歯ぎしり対策は、寝る前だけ頑張るより、日中から“噛みしめの総量”を減らす方が結果につながりやすいことがあります(特に日中の食いしばりがある方)。

 

大切なのは、無理なく続く形にすることです。

 

・上下の歯をそっと離す時間を作ります


食事以外の場面では、上下の歯は基本的に離れているのが目安です。気づいたときに「歯を離す」を合図にしてください(メモやタイマーのリマインドも有効です)。

 

・顎まわりを温めてゆるめます


入浴後や就寝前に、蒸しタオルなどで頬〜こめかみを温めると、顎まわりの筋肉がゆるみやすくなります。※熱っぽい痛みや腫れがある場合は温めず、医療機関にご相談ください。

 

・寝る前の刺激を減らします


夕方以降のカフェインや就寝前のアルコールは悪化要因になり得ます。加えて、寝る前1時間はスマホ等の強い光を避け、頭を休める時間を作ってください。

 

・呼吸を落とす“所作”を入れます
 

深呼吸や瞑想などのリラックス法は、緊張を下げる工夫として紹介されています。短時間でも構いませんので、寝る前の習慣にしてください。

漢方薬という選択肢もあります

 

歯ぎしりに関して、一般用医薬品の効能・効果に「歯ぎしり」が記載されている処方のひとつに、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)があります。

 

神経が高ぶりやすい、怒りっぽい、いらいらがある、といった状態を目安に用いられることがあるとされています。

 

また「やや胃腸が弱い方にも」と説明されることもあります。

 

 

ただし、漢方薬にも合う・合わないがあり、体質や併用薬、妊娠・授乳の有無などで注意点が変わります。

 

使用を検討される場合は、薬局やドラッグストアで薬剤師等に相談し、添付文書の注意事項を確認したうえで選んでください。

歯ぎしりは、本人の意識だけで止めにくい一方で、歯や顎への負担は少しずつ積み重なります。

 

まずは歯科で状態を確認し、必要に応じてナイトガードなどで「歯を守る仕組み」を用意してください。

 

そのうえで、東洋医学でいう「肝の高ぶり(緊張が抜けにくい状態)」を落ち着かせる方向に、顎を温める、日中の噛みしめに気づいて歯をそっと離す、就寝前の刺激を減らすといった小さな習慣を重ねてみてください。

 

続けやすい形に整えるほど、体は休まりやすくなります。
 

(本記事は一般情報としてのご案内です。医薬品ではありません/個人差があります。症状が強い場合や不安がある場合は、歯科医療機関・医療機関、または薬剤師等の専門家へご相談ください。)

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